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東京地方裁判所 昭和44年(特わ)225号 判決 1970年1月31日

本店所在地

東京都港区赤坂一丁目九番一五号 日本自転車会館内

株式会社ざくろ

(右代表者代表取締役 桂洋二郎)

本店所在地

東京都中央区日本橋通三丁目一番地

株式会社日本橋ざくろ

(右代表者代表取締役 桂洋二郎)

本店所在地

東京都港区赤坂五丁目三番三号 テービーエス会館内

株式会社カツラ

(右代表者代表取締役 桂洋二郎)

本籍

山口県下関市大字豊浦村二一三一番地

住居

東京都世田谷区玉川用賀町一丁目二七六番地

会社役員

桂洋二郎

大正一三年五月三〇日生

右各被告会社および被告人桂に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官川島興出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告株式会社ざくろを罰金六〇〇万円に

被告株式会社日本橋ざくろを罰金一二〇〇万円に

被告株式会社カツラを罰金六〇〇万円に

被告人桂洋二郎を懲役六月に

それぞれ処する。

但し、被告人桂洋二郎につき、本裁判確定の日から

二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告株式会社ざくろ、同株式会社日本橋ざくろ、同株式会社カツラは、いずれも料理店業等を営業目的とするものであり、被告人桂洋二郎は、右各会社の代表取締役として同会社の業務全般をそれぞれ統括していたものであるが、被告人桂は、右各会社の業務に関し、それぞれ法人税を免れようと企て、右各会社の売上の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、(一) 昭和四〇年一二月一日から同四一年一一月三〇日までの事業年度における被告株式会社ざくろの実際所得金額が四一〇九万八八八六円であつたのにかかわらず、同四二年一月三一日東京都港区六本木六丁目五番二〇号所在所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七〇〇万五〇〇八円で、これに対する法人税額が二一九万五〇六〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額一四四五万一六六〇円と右申告税額との差額一二二五万六六〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を免れ(所得の内容は別紙一の一記載のとおり)

(二) 同四一年一二月一日から同四二年一一月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が三九九五万一九四円であつたのにかかわらず、同四三年一月三一日前記所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三九〇万二七八八円で、これに対する法人税額が一〇三万五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額一三六二万七三〇〇円と右申告税額との差額一二五九万六八〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を免れ(所得の内容は別紙一の二記載のとおり)

第二、(一) 同四〇年四月一日から同四一年三月三一日までの事業年度における被告株式会社日本橋ざくろの実際所得金額が六〇五九万三六八四円であつたのにかかわらず、同四一年五月三一日東京都中央区日本橋堀留町二丁目五番地所在所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九三九万五二一円で、これに対する法人税額が三一四万三五六〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の正規の法人税額二二〇八万二七六〇円と右申告税額との差額一八九三万九二〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を免れ(所得の内容は別紙二の一記載のとおり)

(二) 同四一年四月一日から同四二年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が五八七八万七五七六円であつたのにかかわらず、同四二年五月三一日前記所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六五九万八九四六円で、これに対する法人税額が一九〇万七八三〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の正規の法人税額二〇一八万五五三〇円と右申告税額との差額一八二七万七七〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を免れ(所得の内容は別紙二の二記載のとおり)

(三) 同四二年四月一日から同四三年三月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が四六七四万九八九二円であつたのにかかわらず、同四三年五月三一日前記所轄日本橋税務署において、同税務署長に対し、所得金が一五一二万四九〇〇円で、これに対する法人税額が四八四万四二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額一五九〇万八五〇〇円と右申告税額との差額一一〇六万四三〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を免れ(所得の内容は別紙二の三記載のとおり)

第三、(二) 同四〇年一〇月一日から同四一年九月三〇日までの事業年度における被告株式会社カツラの実際所得金額が三七三五万二七四三円であつたのにかかわらず、同四一年一一月三〇日前記所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額および法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額一三二〇万九九六〇円を法定納期限までに納付せず、もつて同額の法人税を免れ(所得の内容は別紙三の一記載のとおり)

(二) 同四一年一〇月一日から同四二年九月三〇日までの事業年度における同被告会社の実際所得金額が五二三一万一九九〇円であつたにもかかわらず、同四二年一一月三〇日前記所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額および法人税額が零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、同会社の右事業年度の正規の法人税額一七九八万九六〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて、同額の法人税を免れ(所得の内容は別紙三の二記載のとおり)

たものである。

(証拠)

一、被告人桂洋二郎の質問てん末書五通および検察官調書

一、益田真臣の質問てん末書六通および検察官調書

一、桜井政行の質問てん末書一一通および検察官調書二通

一、荒川浩平作成の銀行預金調査表、売上除外金額明細と題する書面、公表飲食売上明細表、公表飲食売上一覧表、公表売上推移率調査表、売上除外額三社配分表、簿外仕入経費配分表

一、簿外預金明細(昭和四四年押第一四八七号の一四)、公給預収証等六袋(同一五ないし二〇)

(以上三社共通)

一、被告会社ざくろの登記簿謄本一通、同閉鎖登記簿謄本三通

一、桜井政行の上申書二通(受取配当、寄附金につき)

一、野々口正三、上田昌三郎、西村正蔵の各質問てん末書(右同)

一、荒川浩平作成の公表決算外預金残高明細書および公表決算外銀行預金利息計算書(受取利息につき)

一、同人作成の法人税額計算書(未納事業税につき)

一、笹沼芳郎作成の証明書(青色申告取消につき)

一、法人税申告書(昭和四四年押第一四八七号の五、六、七)同修正申告書(同八)、決算書類一綴(同二二)

(以上「ざくろ」分)

一、荒川浩平作成の法人税額計算書(未納事業税につき)

一、伊藤庸治作成の証明書(青色申告取消)

一、法人税申告書四通(前同号の九ないし一二)同修正申告書(同一三)、税務申告書綴一綴(同二三)、料理飲食等消費税関係書類一綴(同二四)

(以上「日本橋ざくろ」分)

一、荒川浩平作成の法人税額計算書(未納事業税につき)

一、笹沼芳郎作成の証明書(青色申告取消につき)

一、法人税申告書三通(同号の一、二、三)、同修正申告書(同四)、税務申告書類一綴(同二一)

(以上「カツラ」分)

(法令の適用)

被告人桂洋二郎の判示各所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二(一)の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用し二年間右刑の執行を猶予する。

被告各会社の各事実は、法人税法一六四条一項、一五九条一、二項に該当するところ、それぞれの各事実は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により、所定の罰金を合算した金額の範囲内で、いずれも主文掲記の刑に処する。

(裁判官 鈴木悦郎)

別紙1-1 修正損益計算書

株式会社 ざくろ

自昭和40年12月1日

至昭和41年11月30日

<省略>

別紙1-2 修正損益計算書

株式会社 ざくろ

自昭和41年12月1日

至昭和42年11月30日

<省略>

別紙2-1 修正損益計算書

株式会社 日本橋ざくろ

自昭和40年4月1日

至昭和41年3月31日

<省略>

別紙2-2 修正損益計算書

株式会社日 本橋ざくろ

自昭和41年4月1日

至昭和42年3月31日

<省略>

別紙2-3 修正損益計算書

株式会社 日本橋ざくろ

自昭和42年4月1日

至昭和43年3月31日

<省略>

別紙3-1 修正損益計算書

株式会社 カツラ

自昭和40年10月1日

至昭和41年9月30日

<省略>

別紙3-2 修正損益計算書

株式会社 カツラ

自昭和41年10月1日

至昭和42年9月30日

<省略>

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